延原時行歌集「命輝く」(第2068回)(春の長田港)

                  

       延原時行歌集「命輝く」(第2068回)

「復活の家出発進行――感謝無限の旅一歩一歩」(204−6)
人や見給うの歌、眉一つの歌、事の次第の歌、我が歌の歌、木漏れ日の歌、笑いかけの歌、笑み語り・笑み増しの歌、妻の事の歌、ひらけへのひらけ甦りの歌、いのち変貌の歌、我が思ひ三面の歌八首、漸くにの歌、世界更新の歌、師友の御文有難しの歌、沁み語る不思議の歌、我妻やの歌、阪神淡路大震災復興二十年の歌、この朝もの歌、復活の妙の歌、短歌神学の歌、甦り実にの歌、この務めの歌、車中の歌、基教問題と称名の歌、我や知るの歌、思ひこへの歌。(2015年1月11〜20日

    1月16日
           師友の御文有難しの歌四首

   仄々と友が返書の暖かみ我が心にぞいと沁みにけり(備考:滝沢克己協会事務局長前田保氏2014年1月12日付御葉書、感謝無尽も:「前略 先日ご恵送いただきましたご著書『復活の省察[上巻]』(考古堂)及びご講演「良寛最晩年の大変貌をめぐって」ともに確かに拝受いたしました。御著書で奥様のお写真に初めて接し、そのご経歴とともに心動かされました。最晩年大変な闘病をされたことが伝わって参りました。短歌といい、後に続く者として非常に興味深く、拝読を楽しみにしております。ご講演も興味深々です。ご恵贈心より感謝いたします。「ひろば」でもできる限りの紹介をさせていただきます」;創言社社長村上一朗氏1月13日付御葉書、感謝無尽も:「延原時行様 新年、ご多幸ご健闘お祈りしております。/ 『復活の省察』(上巻)、私にまでわざわざご恵送頂きまして感謝に堪えません。ありがとうございました。及ばずながらメール等で辿らせて頂いてもおりましたが、仏教で言えば生死即涅槃のご体験とでも申しましょうか、短歌神学とも申されている宇宙論的世界に圧倒されます。鳥飼さんとのコラボもさながらご境涯ないし御生涯のパノラマとも拝され、さしたる体験もない僕などの忖度の届かぬ次元も感じつつですが、感嘆措くあたわざるものがあります。新しい神学構築のご予感でもありましょうか。/ 三島さんご逝去に際しましてはお言葉も有り難うございました。曹洞宗でしめやかなご葬儀がなされました。寂しくなりましたし滝沢協会の今後も心配にはなりますが、仰るような復活を仰ぎ信じてまた元気をださなければと思わされることであります。どうぞ呉々お大切に、ご健康、ご健闘お祈り申し上げます。一言お礼のみです。 村上」;新発田良寛会会長星野淳雄氏1月13日付御書簡、感謝無尽も」「寒中お見舞申し上げます。/ 「風の便り」のご送付ありがとうございました。夫婦愛の極致の思いがいたしました。十五首のうたもいろんなことを思いうかべながら読ませていただきました。/ 遅くなりましたが昨年12月の講演スナップを撮らせていただきましたのでお届け致します。ご笑納下さい。来年度講座の先生の演題ですが、「良寛の『愛語』とボンヘッファーの倫理をめぐって」ということでよろしいでしょうか。私の表記をご確認下さい。/ 講座もジュウネンひと区切と考えておりますが、どうなることやら。とりあえず十年目となる来年度もよろしくお願い申し上げます。  草々  二十七年一月十三日  星野淳雄 延原時行先生」;エーザイ前社長中井博雅氏1月14日付御葉書、感謝無尽も:「延原時行先生 日頃は「風の便り」をご送信いただき、またこのたびは書信と著書をご恵贈賜わり、厚く御礼申し上げます。先生の深い思索と思いの込められた歌を拝読し、学ばせていただきます。当方は昨年会社生活から完全に引き、いくつかのキリスト教諸団体で奉仕の日々です。再会を楽しみにいたします。くれぐれもご自愛されますように。御礼まで。2015−1−14 中井博雅」

   先達の御文拝しつ思ふはや心底のぞまた底のうた
(備考:京都大学名誉教授上田閑照先生1月10日付御書簡、感謝無尽も:「この度『復活の省察[上巻]ーー妻と歌う:生くるとは深き淵より共々に甦ること喜びてこそ』御恵送いただき、心に深く響き 心の底の底に届き、私も甦りの尊うとさに心が洗われました。「確固たる人生神学」に打たれました。天来の御祝福が御二人の上に恵まれますことを心から御祈り申し上げます。信子御奥様の御冥福を御祈りしつつ  上田閑照  一月十日   延原時行様」)

   何時もぞや御誉め上手の言の葉にいかばかり我激励されし
(備考:清泉女子大学名誉教授小野寺功先生1月10日付御葉書、感謝無尽も:「新しい年を迎えました。/ 今年が実り豊かで有意義な年になるよう祈ります。/ 前便で良寛の歌の解釈を紹介していただきましたが、実に深い感銘を受けました。「散る」が飛翔であり、復活につながるという解釈は、私にとりましても大きな希望です。キリスト教の役割はここにあると深く感じいった次第です。三月に「西田哲学から聖霊神学へ」を出版します。本年もよろしく。」)

   師友のぞ文有難し詠ひつつ冬の夜長も心温しや

             沁み語る不思議の歌五首

   人と言ふものは畢竟消えゆきて万象に沁み語り顕る

   閑さや岩に沁み入る蝉の声声消へしのち岩や語らん(備考:これホ氏の言ふ「客体的不死性」《objective immortality》の見事なる一句なり:”We perish and are immortal.” [PR, 351, 82]芭蕉奥の細道』にて山形県立石寺(りっしゃくじ)在りたる時、蝉の声聴きつ、「佳景寂莫として心しみ行のみおぼゆ」と書きおり。閑さは蝉の喧しき消えゆき心沁みゆくの様を直覚せる事態なり。私見によれば、「滅して不滅」の消息を、蝉の声の岩(寂寞たる宇宙)にしみ入るに見たるなり。さて、蝉の声岩や語らん。如何にして?)

   我妻や絶後笑み増し不思議やも御国沁み入る笑み猶不思議

   我妻の笑みや御国に沁み入りて主の御声にて溢れ来たらむ(備考:御声「わが羊飼へ」[ヨハネ福音書21章15,16,17節]なり)

   一本に我妻の笑み輝くや嬉しも嬉し人や笑ませむ

              我妻やの歌一首

   我妻や古稀の写真を見るごとに我声立てて笑いおるなり
(備考:ノーちゃん、ええ顔しとるなあ、えへへへへ。父さん、有難うね、えへへへへ)


         ♯             ♯

今回も上の「1月16日」の歌の添えて、今朝届いている最新の歌を添えさせていただきます。

         〇(3月2日)旨としてこその歌三首

   我妻や思ひ出天父奉献を旨としてこそ生き貫きぬ

   その姿第一巻に明らなり絶後笑み増し往くほどにぞや

   潔し言ふほかにぞや言葉なし妻生涯に悔ひの蔭なし

昨夕は親しい友の御母堂のお通夜に参列しました。95歳の天寿、法名「花響」を戴き、笑みを見せて御浄土へ。最晩年の5年間は、素敵な特養で佳い時を過ごされました。

お通夜は、近くにできた葬儀社の会館で執り行われ、浄土真宗本願寺派の御住職の読経がありましたが、万事、葬儀社によるいまようの演出が際立って、浄土真宗の本来の妙もすっかりかき消された印象を残しました。

あらためていま、延原先生の御自宅でのあの「前夜式」と「告別式」、そして斎場でのあの時を想い起し、深い祝福と平安を覚えさせられております。


今年もはや弥生の月に入り、明日はひな祭り・・・。まだまだ日本列島は大雪の襲来などあってたいへんですが、神戸は晴れ渡って、暖かくなりそうです。

本日の写真は、「春の長田港」の続きです。