延原時行歌集「命輝く」(第1090回)(日本のエーゲ海<牛窓>)

              

        延原時行歌集「命輝く」(第1090回)
「復活の家出発進行――感謝無限の旅一歩一歩」(186−10)歌の心の歌、生きの姿の歌、深謝無尽の歌、麺麭の香りの歌、往きてこその歌、本の先の歌、心豊か成るの歌、折々の歌漫才、パンの境地の歌、復活の解の歌、この朝感動覚醒の歌、次巻の歌、下巻の歌、今の香りの歌、汝が人生の歌、ひそとの歌、少年の日の歌、信子華やぎの歌、今咲くの歌,笑み増し秘義の歌、主の問ひの歌、ぽつりぽつりとの歌、幸せ上梓の歌、妻偉業の歌、静々との歌、嬉しくもの歌、友ありての歌、痒み退きしの歌、木漏れ日フォトの歌。(2014年10月21〜31日)

    10月29日
             幸せ上梓の歌五首

   幸せは妻作ってと言ひし本見事上梓ぞ汝や生くるよ
   闘病中見へざりしぞや命今本格的に始動すや本
   友在りて復活二面考察に心よりなる共感寄せらる
(備考:桑原ヒサ子敬和学園大学教授よりお葉書礼状10月27日付あり、嬉しも:「前略 この度は、また先生のご著書をご恵贈いただき有難うございました。17日からドイツ人の友人が来日しておりまして、京都、姫路まで案内していまして、お礼が遅れて本当に申し訳ございませんでした。すがすがしいブルーの表紙に先生と奥様の素敵な写真です! すでにメールでも拝見しておりますが、短歌という表現手段を用いつつ復活についての考察を深められておられることに深く敬服致しております。生きている人間の「復活」と共に死後的「復活」についても心より共感申し上げております。先生のご健筆を願いつつ小額をお送り致しました。草々」ご共感に深謝無尽も。やな、ノーちゃん。そう)

   信子笑み復活世界実在の証立つるや誠嬉しも
   誠にや数奇にて幸妻人生悔やみ受くるも笑み証し往く

             妻偉業の歌七首

   人はしも実に死してこそ成し能ふ偉業あるなり復活の笑み
   死なざればこの偉業のぞ起点なし笑まざればただの絶命
   絶後にぞ笑み往きてこそ我妻の偉業ありけれ復活証示
   この如き偉業成すこと今生はあり得ざるなり不思議なるかな

   この宇宙いと不思議なる一隅や誠在るなり滅して不滅
   大拙師言ひし一点此処ぞこそ有限にして無限なる場所(備考:” ‘A little point’ left by God corresponds to what Zen Buddhists would call satori. When we strike this point we have a satori. To have a satori means to be standing at Eckhart’s ‘point’ where we can look in two directions: God-way and creature-way. Expressed in another form, the finite is infinite and the infinite is finite. This ‘little point’ is full of significance and I am sure Eckhart had a satori.” in: D. T. Suzuki, Mysticism: Christian and Buddhist. New York: Harper and Brothers, 1957), p. 79. See also Tokiyuki Nobuhara, “Reflections on the God Who Is ‘With’ All Creation: Phases of Mysticism in D. T. Suzuki’s Zen Thought and Whitehead’s Metaphysics,” Process Studies, 34/2, Fall-Winter 2005, 240-263.)

   笑み一つ妻や極点絶後にぞひそと示せり岸辺の主共

             静々との歌二首

   我妻やお可哀想にと悔やみ受く身にしあれども笑み天地往く
   本作る父さんやって言ひしかど妹背書光輝静々と行く



        ♯              ♯



延原さん御夫妻の、不思議な不思議な、まことに稀有な著作ーー奥様の英文箴言30条と御主人の短歌神学――『復活の省察ー妻と歌う:生くるとは深き淵より共々に甦ること喜びてこそ(上巻)』(考古堂)は、産まれてまだ二か月ですが、ゆったりと静かな広がりを見せていて、次の中巻・下巻の刊行が待たれているようで、嬉しいことです。

昨夜の延原さんからのお電話では、最新の完成草稿『変貌論――良寛ホワイトヘッド・信子』に続いて新たに『祈祷の省察ーーバルトから主の祈りまで』(仮題)も産まれてきたようです。益々面白くなってまいります。


今日の歌に添える写真は前の「秋の備前路をゆく旧閑谷学校」につづいて「日本のエーゲ海牛窓>」のものを収まます。

ホテル・リマーニで少々贅沢な昼食をいただいて、近くの「本蓮寺」と瀬戸内市牛窓町の<しおまち唐琴通りの散策を楽しみました。



朝鮮通信使」にまつわる「本蓮寺」など・・・